ArmBox 導入事例インタビュー 株式会社天光社様
ArmBoxは、もはや我々の仕事に不可欠なツール。感覚的だった出店判断が、データに基づいた確かな戦略へと進化しました。

株式会社天光社
「お坊さんの有無を選べる自由な家族葬」をコンセプトに、全国で「家族葬 千の風」ブランドを展開する株式会社天光社様。同社が中期経営計画で掲げる出店加速という目標達成に向け、ゼンリンマーケティングソリューションズのクラウド型GIS「ArmBox(アームボックス)」を導入いただきました。導入前の課題から、具体的な活用法、そして今後の展望について、田中様にお話を伺いました。田中様は、店舗開発からマーケティングまで幅広くご担当されています。(以前は店舗開発室、現在はマーケティング部所属)
お客様プロフィール
株式会社天光社
マーケティング部 部長
田中 辰彦 様

Question 01 貴社の事業内容と、大切にされている理念についてお聞かせください。
弊社は、お葬式を提供する専門葬儀社です。故人様とご遺族の気持ちに寄り添い、大切な方をお見送りするための時間と空間を提供しています。
私たちが最も大切にしている理念は「お坊さんの有無を選べる自由な家族葬」の実現です。かつての葬儀は、お坊さん主導で形式的に進められるのが一般的でした。しかし、故人様やご遺族が本当に望むお見送りの形は、決して一つではありません。宗教的な儀式を望まない方もいらっしゃいます。私たちは、故人様を大切に想う気持ちこそが最も重要だと考え、宗教や形式にとらわれず、お客様一人ひとりが望む形で故人様を送り出せる、自由な選択肢を提供することにこだわっています。この理念が、私たちの全てのサービスの根幹にあります。
Question 02 ArmBox導入前は、どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?
出店判断のスピードと精度に大きな課題がありました。中期経営計画で出店の加速が決定したものの、当時の商圏分析は非常に手間がかかり、属人化していました。
具体的には、不動産情報が出ると、まず本社にある特定のPCでしか使えないGISソフトで商圏情報を取得し、その後Googleマイマップに自社、競合、顧客データを手作業でプロットしていました。開発メンバーは全国に出張しているため、情報を得てもすぐに分析できず、本社に戻るまで判断ができませんでした。このタイムラグのせいで、有望な物件を他社に取られてしまうこともありました。
また、分析資料の作成には専門的な知識やPCスキルが必要で、担当者への負担が大きく、情報の共有もスムーズではありませんでした。顧客データも別部署から都度取り寄せる必要があり、情報の更新や管理、セキュリティ面でもリスクを抱えていました。
導入の過程で、現場のスタッフから反発や戸惑いの声はありましたか?
いえ、全くありませんでした。むしろ「すごく良いですね!」と歓迎されました。ArmBoxを見せた瞬間、誰もがその利便性を理解してくれました。今では開発担当の5名全員が活用しており、「これがないと仕事ができない」と言うほど浸透しています。それくらい、以前のやり方と比べて生産性が劇的に向上しました。
Question 03 ArmBox導入前に利用されていたツールを教えてください。
主に2つのツールを組み合わせて使っていました。一つは、特定のPCにインストールされたGISソフトで、基本的な商圏データを取得していました。もう一つがGoogleマイマップで、GISで得た情報や、自社で収集した競合、顧客データをプロットし、地図上で可視化して分析していました。しかし、2つのツールを行き来する必要がある上に、Googleマイマップは登録できる情報量に上限があるなど、多くの制限がありました。
Question 04 数あるサービスの中から、ArmBoxを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
貴社ご担当者さまからメールでご案内いただいたのが最初のきっかけです。話を聞いてみると、我々が抱えていた課題をすべて解決できると直感しました。
決め手は大きく2つあります。
1つ目は、バラバラだった情報の一元管理と、分析作業の劇的な効率化が図れる点です。
クラウド環境なのでどこからでもアクセスでき、専門知識がなくても誰でも簡単に最新のデータで分析できる。まさに理想的な環境でした。
2つ目は、「人流データ」の活用です。
ArmBoxで人流データを活用することで、これまで見立てることが難しかった分断されている商圏の理解や、特に社内分析におけるお客様がご利用しやすいと予測される商圏を人流データと合わせて分析することで、確度の高い仮説を実現することができるようになりました。人流データを活用することで、出店候補地のポテンシャルを、これまで以上に高い精度で予測できると確信しました。
Question 05 現在、ArmBoxを具体的にどのように活用されていますか?
田中様ご自身はいかがでしょうか?
主に新規出店の判断と、他社調査に関する企業価値評価に活用しています。特に、これまで出店したことのないエリアの葬儀社を調査する際に、ArmBoxは絶大な効果を発揮します。行ったことのない地域の商圏でも、人流データや競合店の状況を地図上で詳細に分析できるため、現地の土地勘がなくても、その企業のポテンシャルを正確に把握することができます。これは本当に画期的で、ArmBoxがなければ不可能だったと思います。
ご利用のスタッフの方から「この機能が便利だ」といった具体的な声はありますか?
開発担当者からは、やはり「情報が一元化されていること」と「操作が簡単なこと」が非常に便利だという声が上がっています。
以前のように複数のツールを使い分ける必要がなく、ArmBoxを開けば、商圏データ、自社・競合店舗の位置、顧客情報、そして人流データまで、出店判断に必要なすべての情報が地図上で一度に確認できます。これにより、分析の質とスピードが格段に向上しました。
また、顧客データを安全かつ定期的に最新の状態に更新できる保守契約も、非常に価値があると感じています。
Question 06 ArmBoxを導入されたことで、どのような効果を実感されていますか?
田中様ご自身はいかがでしょうか?
一番の効果は、出店判断のスピードと精度が飛躍的に向上したことです。以前は担当者の経験や感覚に頼る部分も大きかったのですが、今では人流データという客観的な根拠に基づいて、「なぜこの場所に出店するのか」を明確に説明できるようになりました。
これにより、社内での合意形成もスムーズになり、より自信を持ってスピーディーな意思決定ができています。
ご利用のスタッフも含め、もし作業時間が削減されたのであれば、可能であればどれくらいの削減か教えてください。
開発担当者5名で、月間で50〜100時間近い作業時間の削減になっていると思います。以前は、1つの物件情報を分析するために、データの収集から資料作成まで早くても5時間、場合によっては10時間以上かかっていました。それが今では、ArmBox上でほぼ自動的に、かつ瞬時に行えます。これは、感覚的にはバックオフィスに新しいメンバーを1人採用したくらいのインパクトがあります。削減できた時間を、より本質的な分析や物件の探索、交渉といった業務に充てられるようになりました。

Question 07 最後に、今後の事業展望とArmBoxのさらなる活用についてお聞かせください。
今後は年間10店舗のペースで出店を加速させ、全国に「千の風」ブランドを広げていきたいと考えています。
ArmBoxのさらなる活用としては、現在、販促活動の効果測定に応用する「販促実績確認マップ」という仕組みの追加開発を検討しています。これは、折り込みチラシやポスティングといった販促施策をどのエリアに、いくらのコストをかけて実施したかという情報と、それによって得られたお客様の情報を地図上にプロットし、CPA(顧客獲得単価)を可視化するというものです。
これが実現すれば、どのエリアにどのような販促を打てば効果が高いのかが一目瞭然になり、より費用対効果の高いマーケティング戦略を立てることができます。
今後、ArmBoxにどのような機能が追加されることを期待しますか?
やはり「売上予測」機能には大いに期待しています。我々が持つ60店舗以上の過去の実績データ(店舗ごとの商圏、売上、単価など)と、ArmBoxが持つ人流データや人口動態、競合情報などをAIで解析すれば、新規出店候補地の売上をかなり高い精度で予測できるのではないかと考えています。
これが実現すれば、出店戦略はさらに進化するはずです。ゼンリンマーケティングソリューションズさんの技術力とサポート力には全幅の信頼を寄せていますので、ぜひ今後の開発に期待しています。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
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