奈良県はコンビニ不足?~GISを活用してエアポケットを探す~
2019.03.28
2014年、商店が不足していた北海道初山別村にセイコーマートが新店舗を開店し、商圏人口900人にもかかわらず黒字店舗となったことが最近SNSで話題になりました。初山別村のケースでは村長の要請が出店の契機でしたが、GISを使えば地域に不足している店などを分析することができます。今回は都道府県単位でコンビニの過不足を比較してみましょう。
コンビニのターゲット人口
潜在的な需要は単純な店舗数だけでは測れません。24時間営業が多いコンビニですので、まずは夜間人口と昼間人口の平均からターゲット人口を計算。そして全国のコンビニ約5万4000軒(2016年、日本フランチャイズチェーン協会)と比較します。ターゲット10万人当たりの店舗数は、全国平均で46店舗となりました。地図とランキングを見てみます。
ターゲット人口10万人当たりコンビニ店舗数
奈良県は人口に対してコンビニが少ない
コンビニが最も不足していると考えられる地域は奈良県でした。10万人当たりの店舗数が平均より10店舗も少ないという状態です。ちなみに奈良県は、総務省統計局が公開している単純な人口比店舗数でもダントツで最下位です。(※参照:統計でみる都道府県のすがた2018「居住」)ただし、コンビニが不足していることはわかっても、コンビニが必要かどうかは断言することができません。それはコンビニ数比較の上位を見てみるとわかります。
北海道は、実はコンビニが足りている?
10万人当たりのコンビニ店舗数では、多い順に北海道が56.58店、山梨県が56.51店、茨城県が52.19店となっています。数値上は一見、北海道はコンビニがあふれていてこれ以上必要ないように見えます。しかし冒頭で触れた初山別村のケースのように、広い大地に人口が分散しているため、1軒のコンビニでカバーできる人口は少ないことが考えられます。このように潜在的な需要を発見するために、GISを活用してデータを一望することが非常に役立ちます。
図:初山別村 周辺、羽幌町 飲食店・食料品販売店の分布地図
地図からは、数値データだけではわからないことが見えてきます。コンビニ数が少ない奈良県については、24時間営業スーパーなどのエリアごとの軒数や、ライフスタイルのデータから分析する必要があるでしょう。そして地図のエリア分けを市区町村、メッシュ地図と細かくしていくことで、コンビニに限らず各業種の潜在的な需要を掘り起こすことができるのです。ビジネス上のエアポケットを見つけることができるのもGISの力です。