『あさひる統計』で見る、人の動きが面白い街

2019.07.29

前回『未来統計®』を使えば2045年までの人口推移を町丁単位で予測できることをご紹介しました。これは、長い時間軸における人の数の変化を見るための統計です。今回ご紹介する『あさひる統計』は、短い時間軸、24時間の変化を見ることができる非常に面白い統計です。

※ 『あさひる統計』は株式会社楽しいチリビジが企画制作する製品です。

一般的に「人口」は「夜間人口」のこと

未来統計®や国勢調査でいう「人口」は、実は「夜間」のデータです。どこに、どんな人が、何人住んでいるかがわかったとして、居住者が必ずしも日中も同じ街にいるとは限りません。たとえば仕事や学校のために家から遠い場所まで移動しているかもしれませんし、ショッピングモールへ買い物に行っているかもしれません。夜間人口だけを頼りにビジネスを計画していたら、思惑と違ったなんてことも起こりえます。

そんなときにあったら便利なのが『あさひる統計』です。この統計では平日と休日それぞれの0時~24時まで、3時間ごとの推計人口を調べることができます。スマートフォンのアプリケーションなどを通して提供された情報に基づき、時間帯ごとの人口状況を、約125m四方のメッシュ単位という詳細な範囲で把握できるのです。これにより自動販売機やカフェ、コンビニエンスストアなど、商圏範囲が小さく人の動向に左右されるようなビジネスでも、より正確な予測ができるようになるのです。

一般的な人の動きに当てはまらない街

あさひる統計では人の動きを確認することができます。一般的にオフィス街や工場地帯では、日中の人口が多くなり、夜は一気に人が減ります。実際に住んでいる人は少なく、ほとんどの人が通勤してきているからです。高層ビルが密集するオフィス街の昼間人口はとても多くなります。ところがエリアごとに見ていくと、全く異なる動きをする街もあるのです。

帯広市 昼の人口

帯広市 昼の人口

帯広市 夜の人口

帯広市 夜の人口

北海道の帯広駅前地区は商店や事務所や多い都心部のはずで、普通ならば夜間人口は減るはず。しかし、あさひる統計を見ると逆の現象が見られます。一体なぜでしょうか。疑問に感じた開発者が、実際に現地へ行ってみると、オフィスよりもビジネスホテルが目立ついことがわかり納得したそうです。このように、なかには一日中人がいる街も、あさひる統計で見つけることができるのです。東京だと新宿歌舞伎町も一日中人が多い街なのだとか。

朝と昼、平日と休日の差が激しい場所

平日と休日の違いが顕著に表れる場所としては、高速道路のサービスエリアが挙げられます。

足柄SA 平日 午前中の人口

足柄SA 平日 午前中の人口

足柄SA 休日 / 祝日 午前中の人口

足柄SA 休日/祝日 午前中の人口

足柄SA 平日 夕刻の人口

足柄SA 平日 夕刻の人口

足柄SA 休日 / 祝日 夕刻の人口

足柄SA 休日/祝日 夕刻の人口

あさひる統計が人の動きを克明に描き出していることが実感できます。

あさひる統計の課題

このように便利なあさひる統計ですが、一つ弱点があります。それはあくまでこれが“今の街の姿”を示す統計で、10年後20年後の未来予測は難しいという点です。最新の状況を反映させるために年4回の更新を行っていますが、昼間人口に大きく影響を及ぼすオフィスや工場、大規模な商業施設は、次々に建設されるため、その予測が難しいのです。そのためマーケティングに活用する場合は未来統計などと組み合わせて活用することになります。

さまざまなデータを活用してビジネスに役立てる地図マーケティング。一つひとつの統計を詳しく見てみると、それぞれ個性があって面白いことがわかります。

今回の記事で使用したデータ

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