増える高校野球『観戦人口』と減る高校野球『部員』
2019.09.20
令和初の開催となった第101回全国高等学校野球選手権大会は、強力打線を擁し数々の好投手に打ち勝った大阪府代表履正社高校の初優勝で幕を閉じました。
増える高校野球観戦人口
夏の風物詩ともいえる甲子園の観客動員数が年々増加し、入場券の入手も困難になっていることをご存知でしょうか?
以下のグラフは夏の甲子園大における入場者数の推移を表したものです。2003年の682,000人を境に入場者数は年々増加の傾向があり、昨年の第100回大会記念大会では出場校が多かったことも影響し、史上最多の100万人を突破しました。今大会も地元の近畿勢や注目選手が登場する試合日を中心に、連日『満員通知』が出されました。席種によっては始発電車の到着時間からで並びはじめても入場券を購入できないなど、高校野球『観戦人口』は増加の一途を辿っています。
甲子園・入場者数
出典:日本高等学校野球連盟Webサイト
少子高齢化と高校野球部員の減少
高校野球を観戦する人は年々増えている傾向にありますが、日本全体を見てみると少子高齢化の後を追うように、高校野球部員も過去最多となる170,312人の部員数がいた2014年を境に年々減少し、2019年には143,867人となりました。わずか5年で全国の高校野球部員が15%あまり減少したということになります。
以下のグラフは、2000年~2019年にかけての15~19歳人口と高校野球部員数のグラフです。2000年の時点で既に15~19歳人口の減少が始まっています。一方で、高校野球部員は、WBCの日本代表2連覇やプロ野球交流戦の開始などの時期に小学生だった世代が高校1~3年生となる2014年までは増加の傾向にありました。しかし、以降の減少率は15~19歳人口を上回るスピードで減少していることが分かります。
15~19歳人口(住民基本台帳)
高校野球部員数(硬式)
出典:日本高等学校野球連盟Webサイト
少子高齢化
2000~2019年の都道府県別人口増減率は以下の通りとなりました。
主に東北、四国、九州地方を中心に地方の人口減少率が高く、大都市圏を中心にあまり人口が減少していないということが、表と地図の両方から分かります。
2000~2019年 都道府県別人口増減率
順位 | 都道府県 | 増減率 |
---|---|---|
1位 | 秋田県 | 59% |
2位 | 青森県 | 64% |
3位 | 長崎県 | 65% |
4位 | 岩手県 | 66% |
5位 | 鹿児島県 | 67% |
人口増減率 トップ5
順位 | 都道府県 | 増減率 |
---|---|---|
43位 | 沖縄県 | 85% |
44位 | 大阪府 | 89% |
45位 | 神奈川県 | 92% |
46位 | 愛知県 | 92% |
47位 | 東京都 | 93% |
人口増減率 ワースト5
高校野球部員の減少
2000年~2019年の都道府県別高校野球部員数から同じように増減率を算出すると、野球部員の減少率は人口と同じく東北地方が大きく目立ちます。一方で2000年から部員数を増やしている県も複数あります。例えば、沖縄県は15~19歳人口の増減率が85%と全国的にみるとあまり減っていなく、部員数は116%と増加しているため、野球を一つのマーケットとして見た場合、非常にビジネスのポテンシャルが高いエリアだと判断できるのではないでしょうか。
2000~2019年都道府県別高校野球部員数増減率
出典:日本高等学校野球連盟Webサイト
順位 | 都道府県 | 増減率 |
---|---|---|
1位 | 岩手県 | 74% |
2位 | 鹿児島県 | 76.2% |
3位 | 新潟県 | 76.5% |
4位 | 山形県 | 79.8% |
5位 | 北海道 | 80% |
高校野球部員数 増減率 トップ5
順位 | 都道府県 | 増減率 |
---|---|---|
43位 | 京都府 | 111% |
44位 | 沖縄県 | 116% |
45位 | 島根県 | 116% |
46位 | 福井県 | 117% |
47位 | 福井県 | 121% |
高校野球部員数 増減率 ワースト5
高校野球部員が史上最多の2014年と2019年の比較
次に、過去最多となる部員数がいた2014年と2019年の15~19歳人口と高校野球部員を掛け合わせて比較を行ってみます。今回は、シンプルな2×2マトリクスで情報整理を行います。
青色の都道府県 | |
---|---|
群馬県 | 岐阜県 |
埼玉県 | 三重県 |
東京都 | 京都府 |
富山県 | 和歌山県 |
静岡県 | 島根県 |
愛知県 | 徳島県 |
合計4つにグルーピングを行うと以上のような結果となりました。
青色に関しては、人口・部員の減少率が相対的に他県よりも低いため、高校野球部員をターゲットとしたビジネスを行う場合、ポテンシャルが高いエリアであると言えるのではないでしょうか。
緑の都道府県 | |
---|---|
北海道 | 新潟県 |
山形県 | 滋賀県 |
栃木県 | 奈良県 |
山梨県 | 大阪府 |
千葉県 | 山口県 |
神奈川県 | 佐賀県 |
一方で、野球部員数に着目した場合、緑色のグループは15~19歳人口自体はそれほど減少していないにもかかわらず、野球部員の数は減少率が高い地域となります。
意外にも2000年以降5回優勝している大阪府や全国屈指の激戦区と言われている千葉県や神奈川県も人口に対する高校野球部員の割合は減少の傾向にあります。
オリジナルデータと統計データを掛け合わせて新たな視点で分析が可能に
当社で販売を行っているGISソフトウェアを活用することで新たな視点での分析が可能になります。今回は、当社でも販売を行っている『人口統計メッシュデータ』のベースとなっている住民基本台帳の人口データと日本高等学校野球連盟が毎年発表している『部員数統計』のデータを掛け合わせて可視化を行いました。
また、当社では教育分野のマーケティングにおいて活用頂ける『学校ポイントデータ』の販売も行っています。学校名や所在地などの基本情報に加えて、生徒数、公立・私立区分、校態区分など学校の主なプロフィールを示す項目が収録されており、教育業界向けの販促活動や、学生・生徒が集中して居住するエリアを対象としたマーケティング活動にご利用いただけます。