奇しくもコロナ災禍が機になった本格的なテレワークとWeb会議、もたらした恩恵と見えてきた課題

2020.05.28

2020年7月に開幕を迎えるはずだった東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの猛威にさらされ、歴史上はじめて、延期という大きな決断に至りました。

「テレワーク」・「Web会議」・「時差出勤」といった対策は、東京オリンピックの開催期間中、渋滞の緩和をはじめ円滑な大会運営を目的に、調査・検証されており、今夏本格的に経済界に向けて導入や推奨を進めていたところです。
東京都で働く誰もが、新型コロナウイルスに端を発した、各自治体の緊急事態措置により、不要不急の外出の自粛、テレワークの推奨、宴席や会合、イベントなどの延期や中止を検討しなければならない事態を想定はしていなかったでしょう。

4月7日(火)に政府による緊急事態宣言が発令されて以降、筆者が勤務するオフィスも段階的にテレワーク・在宅勤務推奨となりました。今回は、当初の計画と異なる形と規模で実施されているテレワークがもたらした、"副産物"についてレポートしていきます。

まず、テレワークが推奨されて明らかになった"副産物"の代表としては、通勤時間と通勤費ではないでしょうか。筆者は、千葉県の流山市に慎ましやかな居を構えており、そこから東京都千代田区のオフィスまで、片道およそ60分、1か月の通勤費約23,000円をかけて通勤しています。しかも、通勤電車はすし詰め状態となっているのはご想像の通り。
そうした通勤時間が緊急事態措置、テレワーク推奨となって以降、在宅勤務日には朝夕の時間を家族とのコミュニケーションの時間に置き換わり、数日の勤務日においてもゆとりある空間の中で「通勤移動しながら〇〇」という時間に置き換わっている点は注目に値します。

少々乱暴かもしれませんが、通勤した日を定期を使わずに、切符で出社したことにし、単純に比較してみました。結果は当然といえば当然ですが、4月1カ月間でおよそ10,000円の縮減となりました。また、往復の2時間×テレワーク日数(4月は10日)約20時間という時間が、いろいろな意味で"Priceless"な価値につながっています。
同様に、私が所属する組織のメンバー分をすべて集計した結果、4月ひと月で1人あたりおよそ10,000円、平時に比べておよそ半減している結果となり、200時間近い"Priceless"な価値がうまれていることになります。ここで副次的にうまれた"ベネフィット"を原資にしてどのように活かすか私たちは求められています。

※ ㈱ゼンリンマーケティングソリューションズの独自集計

日頃、営業担当はクライアント企業に足を運び、自社の情報を提供し、クライアントの情報を得る機会を定期的に繰り返しているというのが一般的です。しかしながら、テレワーク推奨・外出自粛・面会延期となった4月以降、訪問による商談や打ち合わせが大幅に減少しました。この頃から増えてきたのが、「Web会議」です。

Web会議は、"Zoom"、"Webex"、"Teams"など、遠隔地点の相手と音声通信やビデオ通信によるコミュニケーションを実現するツールです。これらを利用することで、その場に足を運ばずとも、それぞれの環境で、会議に参加することが可能であり、社外の人とのコミュニケーションも可能となりました。

課題もあります。1つは、通信環境の脆弱さや使える機能がデバイスによって制限があること。ここまでテレワークが急拡大したことにより、ネットワークの速度に不満がある、社内サーバーに接続できないといった弊害も出ているのもまた、事実です。
2つ目は相手の表情や仕草、声の状況などから得られる微細な情報を受け取りにくくなっている点ではないでしょうか。画面越しに対峙するため、そうした反応の部分や生理的な変化などが情報として得られにくくなっていることや、わずかなタイムラグもストレスに感じる部分もあるでしょう。Web会議後、いつもよりも疲労感を感じるのは筆者だけではないと考えます。

しかしながら、このようなWeb会議ツールを使い、クライアントの状況を把握し、打ち合わせを進めることで案件を進捗させ、状況を停滞させないといった事例も出てきています。下記の表をご覧ください。

※ ㈱ゼンリンマーケティングソリューションズの独自集計

コロナの影響が表面化する前2020年1月の、筆者が所属する組織の訪問回数と打合せ時間、移動時間・移動にかかった交通費を取りまとめたものです。移動時間は便宜上、公共交通機関の時間+15分(往復の場合は+30分)として集計。注目するべき点は”時間”です。Web会議では物理的な移動時間は発生しないため、その時間を会議の準備や議事録作成、クライアント業務に充てることができます。また、Web会議の副次的な効果として、会議そのものの時間も回あたり約30分短縮しているという結果がみられました。打ち合わせや訪問の時間の提供価値が一定であるとすれば、効率的・生産的な方法といえるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスは、まだその「収束」の期を見せてはおらず、引き続き予断を許さない状況にあります。専門家は口をそろえて、「今、対応を緩めてしまえばこれまでの取り組みが水泡に帰す」と提言しており、緊急事態宣言の延長の際には、「新しい生活様式」について言及しています。今後は「テレワーク」・「Web会議」といった新しい働き方が推奨され、定着を求められるなか、「アフターコロナ」を見据え、これを機と捉え、これまでの常識を破り、合理的に・効率的に、楽しみをもって運用することで、より生産性の高い企業活動、社会活動に変化していくことを期待しながら、今はテレワークを満喫しようと思います。