経営者の視点を補うエリアマーケティング ~鳥の眼マーケティングと虫の眼マーケティング~

2022.04.11

※ この記事は、2004年7月にGIS専門誌へ掲載された内容です。

鳥の眼の視点を持つ経営者の傾向

鳥の視点で高みから俯瞰する能力に長けた経営者は大局を見失うことはないが、往々にして、路傍の花を発見する虫の視点、つまり日々の情報収集や情報分析の苦手なことが多い。とかく、このようなケースでは全体の戦略は確かでも個々の支店の戦術はそこの担当者に任せがちになり、結果として市場占有率や収益率を低下させてしまうことがある。

虫の眼の視点を持つ経営者の傾向

一方、虫の視点を持つ経営者は、とかくモノ造りの職人的な真面目な経営者が多い。こういう経営者はバブル時代にも周りの動向に惑わされたり浮かれたりすることもなく、地道にモノ造りに励みコツコツと積上げて来たタイプで、経営方針は堅実で失敗が少ない。しかしながら、こうした経営者はともすると日々の仕事に追われて目の前だけを見て経営しがちになる。

木を見て森を見ずとなりがちで、せっかくのチャンスを逃すだけでなく、市場や顧客の変化を感じられず時代の変化に適応した経営戦略がなされないことになる。

英会話教室の開校計画

英会話教室開校計画

図1 英会話教室開校計画

甲府市周辺エリアで、ある英会話スクールの開校計画を立てる際に、先ずは現状把握のための戦略地図(図1)をGISを用いて作成し表示したものである。

全域を500mメッシュに分割し、メッシュ内のターゲット人口(6~17歳人口)の多少を色分けし、その上に既存教室を地図上にプロットした。それぞれの既存教室の商圏内ターゲット人口を1000人と仮定し各教室からターゲット人口が1000人になるまでの円を描いた。図1が示すとおり都市部では円が小さく、山間部では円は大きくなっていることが判る。円が交わったり、円に取り込まれそうな部分も少なく、このエリアにおいては各教室の開校計画が基本的にうまく展開されていることが理解できる。これを見て、改めて自社の商圏把握力の正確さを再認識し安堵する経営者もいると思うが、逆に、この正確さがエリアマーケティングで証明されたことによって、当初からこうした手法を運用できれば、もっと正確な市場デザインが出来たに違いないと感じた経営者も少なくないはずだ。

今からでも遅くないと思う、鳥の視点を持つ経営者と話をするとまだ円の描けそうな地域への進出意欲が芽生えている。

英会話教室開校計画

図1 英会話教室開校計画

精肉店の顧客分析

精肉店の顧客プロット図

図2 精肉店の顧客プロット図

図2は精肉店の顧客の分布とターゲットエリアを表示したものである。この精肉店ではポイントカードシステムを導入していたが、せっかくのポイントカード情報を値引きに利用するだけであったため、今回GISを用いて優良顧客の分布状況と商圏の把握を行い、ターゲットエリアへの集中販促により顧客数を増大させることを計画した。

GISによって買物客を地図上にプロットしただけで自社で認識していた商圏をはるかに上回る遠くから来店客があることを知り、新たに自社の実勢商圏を把握した。これまではカード会員数が何人に達した、いくらの売上があっただけしか興味がなく、いわゆる鳥の視点に欠けていたことに気付いた。

そこで今回から具体的に、例えば、車で来店されるお客様へのサービスを追加、そして精肉関連の品揃えを充実させて一人当たりの購買額も増やす戦術を取ることにしたのである。

エリアマーケティングというと、商圏分析や市場開拓、あるいは新規店舗出店のためにエリアを俯瞰する鳥の目を補うツールだと思われがちであるが、実はこのように虫の目を補うことも多いのである。

精肉店の顧客プロット図

図2 精肉店の顧客プロット図

関連する製品・サービス

/common/nav/inquiry/inquiryGismarketing.html