飽和しつつあるホームセンター市場

GIS専門誌に掲載していた記事が公開できることとなりました。
過去を振り返ることにより、現在のヒントになることは意外と多いものです。
ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

※ この記事は、2009年4月にGIS専門誌へ掲載された内容です。

目覚しい勢いで新規出店を増やし、著しい成長で市場を拡大させてきたホームセンター業界も、ここにきて飽和局面に入ったと言われ始め、また市場環境の変化、新しい小売業態の出現などの影響により、ホームセンターの新規出店攻勢も鈍ってくるようになった。

このような状況の中では、各ホームセンター企業も既存店舗の活性化・再配置あるいはスクラップ&ビルドを含めて店舗戦略を検討することが重要になってくる。そうした時こそGISを用いて綿密な立地分析、商圏分析を行うことが必要不可欠になってくるのである。

業界随一のポイントデータベース

図1

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今回は、「ホームセンター名鑑」を紹介したい。「ホームセンター名鑑」は、30年以上前に日本におけるホームセンター業態の普及を予見し、業界発展の指導的役割を果たしてきた株式会社日本ホームセンター研究所が、1979年より毎年発刊している名鑑情報である。全国のホームセンター各店舗が収録され株式会社JPS(現:株式会社ゼンリンマーケティングソリューションズ)が各店舗に座標データを付与したポイントデータベースであるのでGIS上にて活用できることができる(図1)。

図1

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詳細な業態情報

図2

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ホームセンターが、その既存店あるいは出店予定地の立地分析をする際には、周辺の競合店舗の情報が必要である。しかし一口に「ホームセンター」業態といっても、工具用品中心の店、園芸中心の店、カー用品中心の店など、各競合店が持つ特徴は、自社店舗がどのような品揃えの特徴を持つかによって競合度合いは大きく異なる。

あるいは逆に、ここ数年成長目ざましい注目のディスカウントストアやスーパーセンターといった業態は、ホームセンターとしては分類されず競合としては見落とされる場合があるが、生活雑貨や園芸用品など品揃え的には重複する分野も多く、競合店同様の影響力があり見落とすことは出来ない業態である。

図2に表すように、あるホームセンターの新規出店候補地の周辺を見たときに、競合ホームセンターの分布状況が確認することができると同時に、スーパーセンターとディスカウントストアの存在が確認することができる。

図2

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このように「ホームセンター名鑑」は、ホームセンター業態にだけに限らず、ホームセンター関連業態、スーパーセンター、ディスカウントストア、オートセンターなど、関連性が高く、影響度合いの高い業態店舗の収録も充実しており、業態分類も大分類11、小分類66と詳細に分類されており、実務的にも有用性の高いデータベースとなっている。

著者紹介

著者近影

平下 治

株式会社ゼンリンマーケティングソリューションズ 顧問。1943年生まれ。
地理情報システム学会GIS 資格認定協会「GIS上級技術者」第1号認定
1979年エリアマーケティング専門コンサルタント会社、株式会社JPSを設立。以来マーケティング分野のGISの開発、データコンテンツの企画・製作、GIS運用コンサルティング業務に41年間従事し、延べ1,000企業以上への提案・実践の実績を持つ。
エリアマーケティング関連著書・専門誌への投稿も多数。
また、セミナーや研修では日本全国各地はもとより米国、中国、香港、セルビアなど海外講演も多数。
ビジネスGISの草分け的存在でわが国の第一人者。

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