消費支出とゲーム市場:
オフィシャルストアの立地と
都道府県別ゲームソフト消費の深層分析

Release 2023/08/09

消費支出とゲーム市場:オフィシャルストアの立地と都道府県別ゲームソフト消費の深層分析

本記事では、ゲーム市場の規模、家庭用ゲーム機の普及、ゲームメーカーのオフィシャルストアの展開、そして都道府県別のゲームソフトの消費支出について深層分析します。GISの可能性とそのゲーム市場への応用についても触れています。

目次

はじめに

2021年、世界的な新型コロナウイルス感染拡大が1年以上経過し、世の中が不安に包まれる中「東京2020オリンピック」が開催され、出場選手が日本中に歓喜と感動を与えてくれました。

その中で、私を感動させる出来事がもう一つありました。それは開会式の選手入場の際に、日本のゲーム楽曲が流れたことです。私は小さい頃から兄弟や友人たちと沢山のゲームで遊んできたため、ゲームが日本を代表する一つの文化として世界に発信されたことがとても嬉しく思いました。

世界のゲーム市場

世界に広がりをみせる「ゲーム」ですが、(株)角川アスキー総合研究所(注1,2)の調査によると、2022年の世界市場規模は1844億ドル(約24兆円)と見込まれています。そして2025年には2,113億ドル(約27兆6,000万円)まで世界市場規模は拡大すると予測されています。

また近年では「eスポーツ」市場の成長が著しく、海外では大規模な大会が開催されており、2022年のeスポーツ世界市場規模は13億8,400万ドル(約1,800億円)に達すると見込まれています。

現在では、様々なプラットフォームでゲームを遊ぶことができるようになり、ゲーム市場はさらに広がりをみせています。ここまでの広がりをみせるようになったのは、「家庭用ゲーム機」の普及により、ゲームという文化が身近になったという基盤があったからこそだと考えられます。

日本で広がるゲームメーカーのオフィシャルストア

近年、日本では自社IPのグッズ販売を行なう直営のオフィシャルストアの展開が多くみられています。その中でも、特に有名なのは「ポケモンセンター」で、1998年から展開を始め、現在は全国に22店舗展開しています。最近では任天堂が2019年に「Nintendo TOKYO」を渋谷パルコに、2022年に「Nintendo OSAKA」を大丸梅田店にオープンさせ、大きな話題となりました。

次章では、日本で広がりをみせるゲームオフィシャルストアの立地と都道府県別のゲームソフトの消費支出金額の比較をみていきます。

ゲームソフトの消費支出とオフィシャルストア立地の比較

都道府県別に一人当たりのゲームソフト消費支出金額をみてみると、1位が「群馬県」、2位が「岐阜県」、3位が「高知県」となっています(表1・図1)。しかし、「2022年ソフト売上メーカー別ランキング」Top10のソフトメーカーのオフィシャルストアの立地と比較すると、一人当たりのゲームソフト消費支出金額の上位3県には、オフィシャルストアが立地していないことがわかります「2022年ソフト売上メーカー別ランキング」を参考。(注3)

ゲームオフィシャルストアは展開を始めている段階で数が少なく、現状、人口の多い東京都や大阪府などの主要都市で多く立地しています。もし今後、オフィシャルストアの展開を進めて行くのであれば、一人当たりのゲームソフト消費支出金額が高い「群馬県」や「岐阜県」、「高知県」などへの展開を優先的に進めていくことで、より多くの集客が見込めると考えられます。

順位 都道府県 金額(円) ストア数
1 群馬県 1,615 0
2 岐阜県 1,589 0
3 高知県 1,585 0
4 愛知県 1,345 1
5 北海道 1,317 2
6 新潟県 1,080 0
7 大阪府 1,072 7
8 三重県 988 0
9 広島県 945 1
10 福岡県 945 1
11 滋賀県 932 0
12 山口県 911 0
13 東京都 890 13
14 神奈川県 887 1
15 熊本県 885 0
16 鳥取県 858 0
順位 都道府県 金額(円) ストア数
17 香川県 844 0
18 徳島県 825 0
19 兵庫県 806 0
20 佐賀県 792 0
21 埼玉県 773 0
22 大分県 760 0
23 静岡県 727 1
24 島根県 709 0
25 茨城県 681 0
26 宮城県 666 1
27 石川県 660 1
28 山梨県 636 0
29 青森県 632 0
30 奈良県 607 0
31 鹿児島県 599 0
32 宮崎県 597 0
順位 都道府県 金額(円) ストア数
33 山形県 572 0
34 京都府 570 1
35 千葉県 551 3
36 岡山県 549 0
37 栃木県 528 0
38 和歌山県 500 0
39 愛媛県 499 1
40 富山県 477 0
41 福島県 400 0
42 長野県 384 0
43 岩手県 382 0
44 福井県 316 0
45 秋田県 282 0
46 長崎県 253 0
47 沖縄県 226 1
全国平均 758  

表1 都道府県別人口一人当たりのゲームソフト消費支出金額とオフィシャルストア数

人口一人当たりのゲームソフト消費支出金額とオフィシャルストアの立地(画像)

図1 人口一人当たりのゲームソフト消費支出金額とオフィシャルストアの立地

ゲーム市場とGISの可能性

今回はゲームソフトの都道府県別消費支出とゲームオフィシャルストアの立地を比較し、マクロな視点で日本のゲーム市場をみてきました。

最近のゲーム機では、誰(アカウント)がどのゲームソフトをどれくらいの時間遊んだのかが記録として残っています。もし仮にアカウントの住所情報と遊んだゲームの情報を市区町村や町丁字等のポリゴンに紐づけたり、ポイントで落としたりすることができれば、どのエリアで、どのゲームソフトが、どれくらいの時間遊ばれているのかがわかるようになります。アカウント情報を地図上に可視化できれば、前章で挙げた「ゲームオフィシャルストアの今後の展開」や「家電量販店などへのパッケージ版ソフトやグッズの出荷計画」、「eスポーツやゲーム関連イベントの開催計画」などが円滑に行えるようになると考えられます。

おわりに

ここまでみてきたように、ゲームは一つの文化として世界で定着し、現在は日本メーカーである「任天堂」と「ソニー」が世界のゲーム市場を席巻しています。

私は、これからも日本メーカーが世界のゲーム市場を牽引し、世界中のゲームユーザーに楽しいひと時を与えて続けて欲しいと願っています。

参考

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