サブスク時代にLTVが重要視される理由
2019.07.10
近年、商品やサービスを購入して所有するのではなく、顧客が必要なサービスプランに応じて定期的に料金を支払って使用する「サブスクリプション型」のビジネスモデルが注目を集めています。この「サブスクリプション型」ビジネスモデルにおいては、顧客単価を売上ではなく「LTV(Life Time Value)」という指標で管理します。今回は「サブスクリプション型」のビジネスモデルが注目を集める背景から「LTV(Life Time Value)」の重要性、「LTV(Life Time Value)」を顧客ごとに最大化し、ビジネスを成長させる施策についてご紹介いたします。
「サブスクリプション型」のビジネスモデルが注目を集める背景
「サブスクリプション型」のビジネスモデルとして、以前はソフトウェアや動画、音楽などのデジタルコンテンツが中心でしたが、最近ではカーシェアリングやファッションレンタル、家電など、様々な分野に急速な広がりを見せています。「サブスクリプション型」ビジネスモデルへの移行が加速する理由は、顧客と企業、双方にとって大きなメリットがあるからです。
顧客にとってのメリット
- 少ない初期投資で商品やサービスの利用を開始できる
- 自分のライフスタイルに最適なサービス内容と料金プランを選ぶことができる
- 商品やサービスのバージョンアップサポートを受けることができる
企業にとってのメリット
- 既存顧客のリピート購入を促しやすく、継続した安定収入が期待できる
- フリートライアルなど複数のプランと料金バリエーションを用意することで、新規顧客を低コストで開拓しやすい
- 顧客のニーズに応じて商品やサービスを改善していくことができる
「LTV(Life Time Value)」とは
「LTV(Life Time Value)」は、直訳すると「顧客生涯価値」という意味になります。「1人の顧客が企業にもたらすトータルの価値」のことです。顧客単位・顧客重視のパーソナライズドマーケティング※の成熟に伴い注目されるようになった概念で、長期間継続して利用する顧客ほど、LTVが高くなります。 「サブスクリプション型」のビジネスモデルにおいては、常に顧客が満足する商品やサービスを提供し、顧客にとって最適なタイミングでリピート契約や契約プランの変更を提案し、顧客ごとにLTVを最大化させることが大切です。
※ パーソナライズドマーケティングとは、直訳すると「個別最適化されたマーケティング」という意味になります。 顧客情報をもとに、顧客単位でニーズに沿った商品やサービスを提供するマーケティング手法です。
LTVの算出方法
LTVの定義から考えると、顧客ごとにLTVを算出するのが理想的ですが、それぞれの顧客について個別に購買金額や費用を計算していくのは容易なことではありません。そこで参考になる指標を用いて「顧客1人当たりの平均値」を求め、LTVとして扱います。ここでは代表的な計算式を3つご紹介します。
LTVを算出・分析し、顧客へアプローチしていくことは「サブスクリプション型」のビジネスを成長させる上で欠かせないタスクと言えるでしょう。
LTVを向上させるマーケティング戦略のポイント
LTVが高いということは、企業が長期間継続して利用する既存顧客をしっかり確保しているということです。企業にとって新規顧客を開拓するためには、広告費などの膨大なコストがかかります。一方、既存顧客を維持するコストは、新規顧客を1人獲得するコストに比べ、5分の1程度と言われています。
「サブスクリプション型」のビジネスモデルでは、既存顧客の利用状況をもとに、好みや購買行動を把握し、ニーズを理解した上で最適なタイミングで営業活動を行い、LTVの向上を目指しましょう。
ここでは具体的なマーケティング戦略のポイントを3つご紹介します。
- 顧客単価を上げる
既存顧客に向けて、商品やサービスの利用状況から追加サービスのニーズを予測し、提案します。より顧客にフィットした商品やサービスプラン、料金バリエーションを提案するとともに、商品の品質向上、追加購入時のアクションサポートなど、顧客が望む価値を提供することで顧客単価の向上を図ります。
- 購入頻度を上げる
顧客の購入頻度を上げていくためには、購買後のフォローアップが重要になります。顧客の企業に対するロイヤルティを向上させるため、できるだけ接触機会を増やしましょう。そのためにはSNSの活用も有効です。FacebookやInstagramなどで情報を発信しながら顧客との関係を継続し、顧客の利用状況に合わせて商品の追加購買を促します。
- 最適なタイミングで継続利用のメリットを提案する
顧客単価と購入頻度が上がると、長期継続利用へとつながるケースが多くなります。ここで顧客の離脱防止に効果的なのが、顧客単位のアプローチです。顧客ごとに限定商品やサービスなどの特別な情報を最適なタイミングで提案することで、リピート契約へつなげます。
まとめ
「サブスクリプション型」のビジネスモデルにおいて、LTVを向上させることは、長期的な安定経営とビジネスの成長に欠かせない要素です。デジタルマーケティングは、顧客単位でのアプローチに対応できるため、LTVの向上にとても有効な手法です。顧客管理システムとデジタルマーケティング、質の高い営業活動を組み合わせて活用し、顧客ごとにLTVの最大化を図ることが「サブスクリプション型」のビジネスを成長させる秘訣です。
当社でも、LTV向上のための施策提案やマーケティングのサポートも可能ですので、お気軽にご相談ください。